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保存と修復 第一弾「モノの系譜」

保存と修復 第一弾「モノの系譜」

戦後日本の工業製品に文化的価値はあるのか?

2018年度、講演会シリーズ「保存と修復」が開講します。
語り継ぐだけでは朽ちてゆくものを留め置くことはできない。様々なプロジェクトが、いま文化を守るために立ち上がっています。
現代が持てる限りの知識と技術を駆使し、先人たちが受け継いできた文化的財産を保持していくこと。それは専門家に限らず、所有者、そして伝統がまだこうして息づいている時代に生きるすべての者が、能動的な姿勢で向き合わなければならない使命かもしれません。「保存と修復」では今年度3つのテーマに分けて、それぞれひとつのプロジェクトを取り上げます。
まずは、近代のこと―

近代の「保存と修復」を取り上げるとき考えるのは、まず、何が資産かということ。
近代の有形物は産業製品として量産されて、みな同じ規格で世界中に頒布されています。
では、そこに文化的な価値はないのか?

たとえば、駅のホームにある椅子。最近では効果的な配置やデザインが研究され、かつての見慣れた椅子は姿を消しています。それが良いこと悪いこと以前に、その価値について思い馳せることなどまずないでしょう。
現在、その成果が研究されている「産業工芸試験所」をご存知でしょうか。「工芸」というと現代では伝統工芸士が作り出す「美術工芸品」をイメージさせますが、元来はもっと生活に身近なものでした。「産業工芸」はつまり日用品であって、「産業工芸試験所」は日用品を研究する公的機関でした。
時代は、畳から洋間へと日本の暮らしが過渡を迎える頃。世界中の暮らしを研究し、如何にして日本人に馴染むかたちに磨き上げていくかを試行錯誤していたのが、のちに日本を代表するデザイナーとなる剣持勇や豊口克平らでした。研究所の通称「産工試」と聞けば、ある年代の方には懐かしい響きがあるのではないでしょうか。剣持をはじめとする産工試の職員はデザイン雑誌の先駆け「工藝ニュース」を発行し、ブルーノ・タウトや シャルロット・ペリアンといった世界的デザイナーの生み出す「日用品」を全国に発信していました。なかでも、アメリカの偉大なるデザイナー夫妻、チャールズ&レイ・イームズの存在は、その後の日本のデザインに大きな影響を与えています。終戦まもない日本の技術者たちはイームズの椅子の構造を見て驚愕し、同時に新たな時代の光を見出しました。

「保存と修復」の第一弾では、産業工芸試験所をはじめ近代日本の風景を作り上げてきた人々の試行錯誤の歴史を追い、現代に息づく彼らの撒いた種を見つめます。駅のホームにある椅子も、実はその種のひとつです。これらを研究、そして近代の「デザイン遺産」を探索する江口勲氏を講師に招き、遺すべき価値とは何か、今まさに消えゆく景色の何を留めるべきかを考えます。まだ悶々としている現代の私たちに本シリーズ序章としての問いを提示することになるでしょう。 


今後の「保存と修復」
第二弾:  有形文化財等の繊維品修復について(仮)  9月16日(日)
第三弾:  文楽をはじめとする伝統芸能の教育普及について(仮)  1月27日(日)


第一弾 講師 江口勲(元武蔵野美術大学造形研究センター客員研究員)
1965年川越市生まれ。エグチデザインスタジオ主宰。公益社団法人埼玉デザイン協議会理事。ICSカレッジオブアーツ、女子美術大学短期大学部非常勤講師。インテリアプロダクトの製品開発とともに、2013年より武蔵野美術大学造形研究センターの研究プロジェクト「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタル・アーカイブ化と、生活文化空間の総合的研究」に参加。「椅子と空間の多角的なデザイン研究」を務める。


    4月開講講座の先着受付     
2 / 21(水)9:00~
・定員を超過して受け付けをおこなう場合もございます。
・お申し込みボタンは、受け付けスタート時より表示されます。
・その他の事項については、「講座のお申し込みに関する注意事項」をご確認ください。



講座実施日 4月15日(日)
時間 9:30-12:00
会場 ウェスタ川越2階 市民活動・生涯学習施設 会議室1
回数 全1回
受講料 800円(当日支払い)/学生無料
定員 30名
  • 保存と修復 第一弾「モノの系譜」
  • PDFファイルをダウンロード

■講座についてのお問合せ
電話 049-249-1186
Mail entry@westa-kawagoe.jp
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